田染幸雄の世界 自然との語らい

 
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<ふるさと・山口県徳山市(現在の周南市)>

その日も私たちは、水のある風景を求め自転車を走らせていました。
そして、「清流通り→」という表示板を見付けほっとしたことを憶えています。
矢印の方角に行けば川があると想像し、矢印に従って走っていたはずなのに、
気がつくと、その表示板が見当たらなくなってしまっていたのです。

途方にくれていたその時、
たまたま傍らにタクシーが止まり僧服の方が降りて来られましたので、
とっさに「清流通り」への道を尋ねておりました。
ところがその方は無言のまま、首をかしげるばかり・・

その時になって、道の傍らに細い流れのあることに気がついた私は、
潮音洞の話を思い出しました。
もしかしてこの流れが潮音洞からの「水」・・するとここが「清流通り」・・
たずねる私に、ほっとしたように頷かれたその方は、
もし川をお探しなら、この山を越した向こう側にありますと教えてくださいました。

お礼をいう私に合掌で返してくださって、
もういちど頭を下げると、又合掌。
振り返るとまだ合掌を続けてくださっていました。
後になって気がついたのですが、そこは漢陽寺の裏門の近くだったのです。

  ・・1654年、漢陽寺の裏山にトンネルが掘られ(潮音洞)
    錦川上流の水を引いて鹿野町一帯をうるおすことが出来るようになった・・

今から350年も昔に、そのようなすぐれた灌漑工事が行なわれていたことで、
漢陽寺と潮音洞のことは広く世に知られるようになったそうです。
漢陽寺の境内には、潮音洞より流れ出る遣り水を活かし、
「曲水の庭」をはじめさまざまな庭園が造られています。


 漢陽寺
          漢陽寺発行のパンフレットより


次の日、教えられたように漢陽寺の裏山を自転車を転がしながら登り、
そして快適に下って、目ざす錦川支流の細い流れにたどりつきました。

暑い日ざしのもと、数人の子供たちが歓声をあげながら水遊びをしていました。

(この時の作品が、ホームページ「ふるさと・山口県徳山市(現在の周南市)」で
紹介している「河原 8P」です)

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